2013年9月16日月曜日

沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳1--Jon Mitchellのジャパンタイムス記事(Aug. 7, 2013)


6月13日、沖縄市諸見里のサッカー場で米軍遺棄物と考えられるドラム缶が発見されました。

この問題に関しては、沖縄・生物多様性市民ネットワークのブログ(→枯れ葉剤のタグ)をたどってください。

沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市による調査が行われ、その結果をみて、専門家から評価、意見、警告、提言が寄せられています。

全面調査が行われる前に、取り入れられなければいけない意見ですので、遅くなりましたがこちらに訳をあげました。

こちらは、ボストン大学公衆衛生学部の名誉教授であるリチャード・クラップ氏と、かつて東南アジアの除草剤汚染の確認に携わっていたウェイン・ドゥウェニチュック氏の意見をまとめたジョン・ミッチェルさんの記事です。










ドラム缶が掘り起こされた元米軍基地の土地は、国防総省の小学校、中学校に隣接している(写真ジョン・ミッチェル)





オリジナル記事はこちら↓
Okinawa dump site may be proof of Agent Orange: experts
Dioxin spike raises fears of local health risks
BY JON MITCHELL AUG 7, 2013
「専門家は、沖縄での投棄場所はエージェント・オレンジの証拠となるかもしれないとの見解
サッカー場のダイオキシン、地元の人々の健康への危険に対する不安を高める」

エージェント・オレンジの第一人者である専門家2人によると、沖縄市の米軍基地跡地に埋められていた22本のドラム缶の最近の発見は、米軍が1960年代と1970年代に有毒の枯れ葉剤を貯蔵していたベトナムのダイオキシンのホット・スポットと同レベルの危険を、地元住民につきつけているかもしれない、としている。

ボストン大学公衆衛生学部の名誉教授であるリチャード・クラップ氏と、かつて東南アジアの除草剤汚染の確認に携わっていたウェイン・ドゥウェニチュック氏は、沖縄の住民のリスクについて言及し、人体の健康への脅威を限られたものにするために、早急な土壌浄化を促している。

ウェイン・ドゥウェニチュック氏はまた、ドラム缶の発見は国防総省が、米軍の枯れ葉剤がかつて存在していたということを繰り返し否定していたことを論駁することになるかもしれないと、踏み込んだ見解を述べている。

科学者のコメントは、731日に発表された沖縄市の要請により愛媛大学――ダイオキシン検証では日本のトップ機関の1つである――によって実施された独自の調査結果の発表に応えて出されたものである。愛媛大学の調査は、沖縄市のサッカー場下から発見された22本全てのドラム缶が、枯れ葉剤2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T )とダイオキシン中最も危険な2,3,7,8-テトラクロロジヒドロ-p-ダイオキシン (TCDD)を含んでいたことを明らかにした。

1つのドラム缶は安全基準を840%も上回るレベルのダイオキシンを含み、一方、水の検体は、法的上限値の280倍を示した。2,4,5-TTCDDの両方ともエージェント・オレンジや他のベトナム戦争時代の枯れ葉剤で発見される物質の内の2つである。

少なくとも、ドラム缶の3つにはダウケミカル株式会社エージェント・オレンジの主要製造会社の一つ--の標章が印されていた。

クラップ氏は「沖縄のデータが、もし正確であるなら、最近のベトナムで集められたホット・スポットに匹敵する。沖縄市ででてきたサンプルの半分以上は、ダイオキシンのレベルが、科学者が考える深刻な汚染以上の数値を示している」とジャパン・タイムスに語った。

この評価は、カナダのハットフィールド・コンサルティング会社の主任科学者として、ベトナムで20以上のダイオキシンのホット・スポットである可能性のある場所を指摘したドゥウェニチュック氏にも支持されている。

「もし沖縄のサンプルのデータ表で示されているTCDDのレベルがベトナムの環境で見つけられたら、地元の人々への被曝経路に注目しながら、早急な改善対策が推奨されるだろう。」とドゥウェニチュック氏は語る。

医療の専門家は、このようなベトナムのホット・スポットが、地元の住民にガン、先天性障害といった深刻な疾病を病ませている、と長い間強く主張してきた。ベトナム赤十字は300万人の人々が、現在、米国が1961-71年に枯れ葉剤を使用したことによるダイオキシンの毒によって病を患っていると推計している。多くは、地元の環境に入り、食物連鎖へと入り込んだダイオキシンに晒されたのである。

元は嘉手納空軍基地の一部であり、1987年に民間使用(沖縄市)へと返還された場所における、今年6月のドラム缶の発見以来、この沖縄のドラム缶の内容物は正確には何であるかという論争は、激しくなっている。作業員がドラム缶を掘り起こして、ほぼすぐさま、ダウケミカルの代表は、複数の記者に対して、ドラム缶のタイプと標章は、同社が枯れ葉剤を船で輸送した際に使われたものとは一致しないと述べた。

一方、沖縄防衛局代表は、先週、ジャパン・タイムスに枯れ葉剤を含んでいた可能性は低いと述べている。

沖縄防衛局は、エージェント・オレンジの構成分である2,4-Dの痕跡が見つけられなかったという事実を強調した。しかし沖縄防衛局は、2,4-Dは生物分解されるものであり、ゆえに、ドラム缶が埋められてから長年かかって分解する検出できない可能性が高い、ことへ言及することを怠っている。

沖縄防衛局は、724日の記者説明会で、記者に問われるまで、TCDDが発見されたことを公表せず、当局はドラム缶が枯れ葉剤を含んでいた可能性を矮小化しようとしているのではないか、という疑念を記者の中に引き起こした。

米軍の「星条旗新聞」は最近の記事で、防衛省は真のデータをごまかしていると非難した。

ドラム缶がエージェント・オレンジを含む可能性を最小化した沖縄防衛局の報告と比較すると、愛媛大学の先週の報告書は、ドラム缶は「除草剤のみでなく、枯れ葉剤も含まれていた可能性はある」と結論づけている。

ベトナム戦争時代、嘉手納基地は戦闘のための国防総省の主要な輸送ハブの1つであった。

今年初め、ジャパンタイムスは、1971年の米国陸軍のエージェント・オレンジに関する報告書が嘉手納に「除草剤貯蔵箇所」が存在することについて明らかにした。

150名以上の米退役軍人が沖縄でのエージェント・オレンジへの被曝による疾病を訴えている。その中には、嘉手納基地の施設で、基地周りのフェンスと滑走路で除草のために枯れ葉剤を撒いたと主張する者もいる。退役軍人はまた、1960-70年代に、沖縄本島において――嘉手納を含む――、大量のエージェント・オレンジが埋設されたとも主張している。

国防総省は、未だ、軍の枯れ葉剤――エージェント・オレンジを含む――を沖縄に貯蔵したことを否定している。2月には、国防総省は、そのような物質が沖縄にあったことを否定する29頁の報告書を出した。

ウェイン・ドゥウェニチュック氏は「(愛媛大学からの)これらのデータと、ドラム缶からかなりのTCDDのレベルがでたということは、沖縄におけるエージェント・オレンジとその他の除草剤(枯れ葉剤)の存在を否定した国防総省の報告書を、真っ向から否定するものになると、私は踏み込んで発言してもよい」と語る。

ドゥウェニチュック氏は、「懸念される主要な構成分であるTCDDが存在したなら、エージェント・オレンジの存在を否定し続けることは意味がない。」と、米国国防総省の否定を意味論上の問いとして一蹴した。

ドゥウェニチュック氏は、自治体の当局にこの地域に住む人々の危険を回避することを促した。「ドラム缶と汚染された土の除去は、最優先されるべきである。地下水の調査は、TCDDが他の地域に運ばれているかいなか--それは人々をTCDDに晒すことになる--を判断するものとして実施されるべきだ。」と彼は語っている。

ドラム缶の廃棄場所に隣接しているのは、フェンスの反対側-の嘉手納空軍基地内にあるボブ・ホープ小学校とアメリア・イアハート中学校のつの国防総省の学校である。国防総省の在日米軍へ、学校でダイオキシンのチェックは行うかどうかを問い合わせたところ、この記事の出版時には回答はこなかった。

現在まで、沖縄市のサッカー場のほんの一部分しか調査されていない。

沖縄市は、さらにドラム缶がサッカー場地中に埋められているかを調べる更なる調査を行うと発表している。
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(翻訳:Okinawa Outreach 河村雅美) 



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